標準的運賃とは|2024年の改定内容と今後の適正原価
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標準的運賃とは、トラック運送事業者が法令を守って持続的に事業を行うために必要な運賃の目安として、国土交通省が告示しているものです。平成30年12月の貨物自動車運送事業法の改正で創設され、令和2年4月に告示されました。令和6年(2024年)3月22日には、物価や燃料の高騰、荷待ち・荷役の対価などを反映した改定が告示されています。一方で、令和7年に成立した貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律では、今後導入される「適正原価」に伴って、標準的運賃は廃止されることになっています。
標準的運賃の位置づけ
国土交通省の資料では、標準的運賃は、トラック事業者が自社の適正な運賃を算出し、荷主との運賃交渉に臨むにあたっての参考指標とされています。関東運輸局のパンフレットでは、トラック運送事業者において荷主に対する交渉力が弱いことや、令和6年度から年間960時間の時間外労働の限度時間が設定されること等を踏まえて設けられた制度だと説明されています。
運賃表は、地方運輸局等のブロック(10ブロック)単位で、バン型の車両で、車両を貸し切って貨物を運送する場合の契約を前提に設定されています。車種は、小型車(2tクラス)、中型車(4tクラス)、大型車(10tクラス)、トレーラー(20tクラス)に分かれ、距離制運賃と時間制運賃があります。
2024年3月の改定の主な内容
| 見直しの柱 | 主な内容 |
|---|---|
| 荷主等への適正な転嫁 | 運賃表を改定し、平均約8%の運賃引上げ。燃料費の基準価格を120円に変更し、燃料サーチャージも120円を基準価格に設定 |
| 荷待ち・荷役の対価 | 現行の待機時間料に加え、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算。荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割を加算 |
| 多重下請構造の是正等 | 「下請け手数料」(運賃の10%を別に収受)を設定。元請運送事業者は、実運送事業者の商号・名称等を荷主に通知することを明記 |
| 多様な運賃・料金設定等 | 共同輸配送等を念頭に「個建運賃」を設定。速達割増や有料道路を利用しない場合の割増等を設定。特殊車両割増の対象を追加 |
| 実費の明記 | 「有料道路利用料」を個別に明記し、「運送申込書/引受書」の雛形にも明記 |
パンフレットでは、料金(利用運送手数料、待機時間料、積込料・取卸料、附帯業務料)や実費(燃料サーチャージ、有料道路利用料、フェリー利用料等)は標準的運賃には含まれていないため、別途収受することとされています。
下請け手数料の考え方
下請けに発注する際の手数料は、運賃の10%を別に収受するものとして設定されています。考え方を数字で示すと、次のようになります。
計算例(数字は説明のための仮の値です)
実運送事業者の運賃が50,000円の運送を、元請が下請けに発注する場合
下請け手数料=50,000円×10%=5,000円
実運送事業者が受け取る運賃50,000円とは別に、元請は5,000円を手数料として荷主から収受する考え方です。
運賃交渉に使うときの手順
- 自社の運行実態(距離・時間・車種)に近い運賃表の区分を確かめる。
- 運賃とは別に収受する料金(待機時間料、積込料・取卸料、附帯業務料)と実費(燃料サーチャージ、有料道路利用料など)を分けて書き出す。
- 自社の原価を踏まえて実際に適用する運賃・料金を決め、運輸局への届出の要否を最寄りの運輸支局で確かめる。
- 荷主との交渉では、運賃・料金・実費を分けて示す。
関東運輸局は、荷主企業等に対して、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を踏まえ、交渉資料として「標準的運賃」を用いて提示された価格は、合理的な根拠があるものとして尊重するよう求めています。
適正原価の導入で廃止される予定
令和7年6月に公布された貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律では、国土交通大臣が「適正原価」を定めて告示できるようになり、トラック運送事業者は、引き受ける運送の運賃・料金が適正原価を下回らないようにすることが求められます。国土交通省の概要資料は、これに伴い「標準的運賃」は廃止すると説明しています。適正原価に関する規定の施行日は、公布から3年以内で政令で定めることとされ、この記事の更新日の時点では、まだ施行されていません。標準的運賃を使っている事業者は、適正原価の告示の動きを見ておく必要があります。
よくある質問
標準的運賃とは何ですか?
トラック事業者が自社の適正な運賃を算出し、荷主との運賃交渉に臨むにあたっての参考指標として、国土交通省が告示している運賃です。令和2年4月に告示されました。
2024年の改定で何が変わりましたか?
運賃表の改定による平均約8%の運賃引上げ、燃料費の基準価格の変更、積込料・取卸料の加算、荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合の割増、下請け手数料の設定などです。
下請け手数料はいくらですか?
運賃の10%を別に収受するものとして設定されています。
標準的運賃はなくなるのですか?
令和7年6月に公布された改正法で導入される適正原価に伴い、標準的運賃は廃止すると国土交通省の概要資料で説明されています。適正原価に関する規定は、この記事の更新日の時点では、まだ施行されていません。
出典
- 「標準的運賃」等の見直しについて(国土交通省・令和6年3月告示分の資料)
- トラック輸送の「標準的運賃」が改定されました(パンフレット)(国土交通省 関東運輸局・令和6年3月)
- トラック適正化二法のポイント(国土交通省・概要資料)
- トラック適正化二法について(国土交通省・令和7年法律第60号・第61号の案内ページ)
- 改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について(国土交通省・令和6年法律第23号の案内ページ)
- トラック運転者の改善基準告示(厚生労働省・2024年4月適用)
出典の確認日:2026年10月13日
この記事は、公開日時点の公的資料をもとにした一般的な情報で、個別の事業者への当てはめや法令の解釈を示すものではありません。改正の内容は変わることがあります。最新の内容は国土交通省・厚生労働省などの公式の情報でご確認ください。個別の判断が必要な場合は、所管の行政機関や専門家にご相談ください。